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【メディアライブラリーCELL】第15回トークライブinCELL:鈴木基伸先生が語る「『寿限無』の言語学—じゅげむじゅげむごこうのすりきれ…—」が開催されました

2014年11月26日(水)にメディアライブラリーCELL CE104にて、第15回トークライブが開催されました。
今回は総合文化学部の鈴木基伸先生のお話を伺いました。
タイトルは「『寿限無』の言語学」です。

学生時代、落語研究会に所属し年3回は高座にあがられていたという鈴木先生。落語の楽しみ方のポイントを、ご専門による言語学の切り口で、解り易くかつ楽しく解説してくださいました。
前座噺の代表作である「寿限無(じゅげむ)」。この噺の笑いのポイントとして、次の3つを挙げられました。

1.聞き間違い
はじめての子どもに、縁起の良い名前を付けてやりたい八五郎夫婦。物知りの和尚さんに知恵を借りに訪ねます。物を知らない八五郎は、数々のエピソードと共に紹介される縁起の良いフレーズを、ことごとく聞き間違えます。

2.解釈のズレ
物知らずの八五郎が、それぞれのいわれを聞くにつけ、ズレた解釈をするところが聞き手の笑いを誘います。予定調和の会話の中で、ふいに発生するズレが“笑いのもとになる”と鈴木先生は分析されます。

3.ピンボケな行動
縁起の良い名前の甲斐あって元気に育った寿限無は、ある日近所の子どもに怪我をさせてしまいます。怪我をした子どもからクレームを受ける八五郎一家。そんな危機的状況にもかかわらず、登場人物たちは皆、長い長い寿限無のフルネームを使って話し合います。

“言葉の経済性”と言って、日本人は言葉を省略して使う傾向が強いのだそうです。それなのに出てくる人々は皆、寿限無のことをいちいち長いフルネームで呼ぶのでした。そうこうするうち、なぐられた子どものたんこぶは、いつの間にか引っ込んでしまうという「落ち」でこの話は終わります。

さらに鈴木先生は、「寿限無〜」というとてつもなく長い長い名前を、“アクセント”という言語学的見地からも考察してくださいました。会話の文脈からその言葉が「名前」であると認識した時、私たちは無意識にその「名前」に相応しいアクセントを共通認識として持ちます。こうした前提に照らすと、「寿限無〜」は明らかにその認識から外れていることがわかります。
このように普段は難解な「言語学」の授業をされている鈴木先生ですが、本ライブにおいてはまるで噺家さんのように巧みな話芸で私たち聞き手を引き込み、落語の楽しさと同時に”言語学って面白い学問だな“と感じさせてくださった、そんな30分間でした。

CELLでは現在、本ライブ関連の資料を展示でご紹介しています。配布パンフレットでは、展示コーナーでご紹介しきれなかった資料についてもご案内しています。これを機に、落語や言語学の世界へ足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。

【展示期間】12月末まで
【場所】メディアライブラリーCELL 特集展示コーナー

※一部、貸出できない資料もあります。
※貸出中の場合、予約も出来ます!予約の際は、カウンターまでお願いします。

お話される鈴木基伸先生『寿限無』の登場人物を熱演
「寿限無〜」のアクセントは”名前”ではない

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